山河草木

特に目的もなく、誰にともなく、雑記帳のようなものです。PCやデバイスの話題が主になると思いますが、他のことにも触れるかもしれません。

Apple Watchを一日使った感想

以前より期待していたApple Watchを今日手にしました。腕に着用するデバイスとして現実的には制約も多々あるだろうと想像しつつ、iPhoneを手にとってチラチラと見る頻度を少なくしてさえくれれば良いと思っています。

今日ほぼ半日使った感想を書きます。

腕時計を置き換えることができるか

時刻を知るための道具としてのApple Watchは、些細な制約を除けばとても良く出来ていて電波腕時計を置き換えても差し支えないと感じました。些細な制約とは、消費電力を抑えるために時計のフェイスは常時表示されているわけではないという点です。腕を体の前に上げたり画面をタップすることで簡単に表示させることができますが、腕を動かさずに袖の隙間から視線移動だけで時刻を確認する事はできません。何らか体を動かさなければ時計にならないということです。

最近は携帯電話やスマートフォンで時刻を知ることができるため、あえて腕時計はしないという方も少なくないかもしれません。そういう方にとってはこれまでも時刻を知るためには体を動かす必要があり、腕にものを巻きつけていることにさえ慣れればトレードオフなしに新しいガジェットを身につけることができます。

もし腕時計にただ時刻を知る装置以上の価値を見出しているようであれば、それを外してApple Watchに置き換えるのは割り切りが必要です。これまでに発売されたスマートウォッチの中ではApple Watchはアクセサリとしての完成度も高いのですし、Apple Watch Editionはそのような役割を持って生まれた製品です。しかし、何年何十年も陳腐化せずに使い続けられる機械式腕時計と違い、2年もすればこれを凌駕するデバイスが発売されるでしょう。ライフサイクルの短いガジェットと趣味の腕時計は、人によっては困難なトレードオフとなるでしょう。また、自分が時刻を確認するとき以外はフェイスが真っ黒ということも、見た目の好き嫌いがあるかもしれません。

片手でできることはiPhoneの方が多い

Apple Watchを使うことでiPhoneを取り出さずに必要な確認を済ませることができる状況はたくさんあります。時計のフェイスに配置できる天気やカレンダーはその代表です。しかし、それら以外の情報や更に詳細を見るためには、Apple Watchを操作して画面を遷移させなければなりません。画面を操作するのは片手ですが、もう一方の腕でApple Watchを操作しやすい位置に持ってくるために実質両手の自由が必要です。

例えば重いかばんを持ったままでは、何度もスワイプしたり細かい場所をタップするのはスムーズにできません。立ち止まってかばんを置けば良いだけですが、その間に片手だけでiPhoneを取り出して操作してしまうこともできます。見られる情報量もそのほうが圧倒的に多いでしょう。

時計のフェイスで事足りる情報や、返信の不要なメッセージを確認したり、天気の変化の通知を受けたりといった特定の用途では極めて便利です。あくまで腕に付けられる情報盤と考えなければ、思ったほど便利ではない側面ばかり気になってしまうかもしれません。

通知やグランスはカスタマイズする

Apple Watchを便利に使うためにはカスタマイズが必須です。まず通知はApple Watchで受けることに意味のあるものに限るよう、設定画面から大胆に減らすほうが良いです。メッセージとメールを使い分けたり、メールもVIPを活用して本当に届いたことをすぐに知りたいものだけ通知されるようにしましょう。そうすることでApple Watchの通知デバイスとしての優秀さをストレスなく生かせると思います。

フェイスを上にスワイプして現れるグランスは、ホームからアプリケーションを選択するよりも簡単にアプリケーションを起動できる便利な手段です。しかし、このあとで目的のアプリケーションに切り替えるために左右にスワイプを繰り返すのは、思いのほか手のかかる操作です。

グランスを活用するためには、本当にすぐにアクセスしたいアプリケーションだけを厳選してグランスに表示し、頻繁に使うものを先頭にまとめて登録しておくとよいでしょう。

極端な使い方をしなければ電池は一日持つ

Apple Watchで通話したり、カメラのリモートを長時間使ったり、Apple Watchからbluetoothで音楽を再生したりしなければ電池は十分に一日持ちそうです。このようなガジェットは電池が切れると役に立たず、普段便利なだけに余計にストレスのもとになってしまいます。万一の場合に備えてパワーセーブモードの使い方や、モバイルバッテリーから充電できる準備はしておくとよいでしょう。

バンドはとても良く出来ていて、腕の太さに合わせて心地よく装着することができます。ただ、軽いApple Watch Sportsでも、一日中ずっと着けておくのは疲れると感じました。ライフログを重視して一日中着けておきたいなら、いずれにせよ夜は充電しなければならないApple Watchではなく専用のデバイスを使う必要があります。

まとめ

Appleが後出しで満を持して発売しただけに、装着感や質感の良さ、よく練られたユーザーインターフェイスなど、技術的にはとても贅沢なガジェットだと思います。しかし、一般的なユーザーにとってイノベーションとなるような魔法は残念ながらありません。正直無ければ無いで困ることはなく、人によっては機械式腕時計を付けている方がずっと満足度が高いかもしれません。ほんの少しiPhoneを便利にしてくれるリモートコントローラー兼時計付き情報盤です。物理的な限界を考えればこれでも相当に健闘していると思いますが、次にはそんな常識を打ち破るような進化があることを楽しみにしています。

買うべきかどうか迷っている人から相談されれば、「好奇心」と「ちょっと便利」にいくら出せるかで判断してくださいと言います。